女性のための医学知識

 

正常月経周期について

自分の月経周期が正常か、今一度確認してみましょう。

ホルモンと月経周期のしくみ

月経周期について

月経(生理)の始まった日から、次の月経の始まる前の日までを、“月経周期”と言い、通常は28日周期です(月経の始まった日を月経周期1日目と言います)。月経周期がいつも25日以内のときを頻発月経、反対にいつも36日以上のときを希発月経と言いますが、どちらも正常排卵周期とは言えず、なかなか妊娠しないなどの原因となることもあります。

ホルモンとの関係

月経(生理)の始まった日から、次の月経の始まる前の日までを、“月経周期”と言い、通常は28日周期です(月経の始まった日を月経周期1日目と言います)。月経周期がいつも25日以内のときを頻発月経、反対にいつも36日以上のときを希発月経と言いますが、どちらも正常排卵周期とは言えず、なかなか妊娠しないなどの原因となることもあります。

【卵胞期】基礎体温の低温相にあたります

卵胞期の体の働き

FSHとLHのはたらきによって、卵巣では卵子を含む卵胞が次第に発育してきます。この卵胞から卵胞ホルモン(エストロゲン)が盛んに分泌され、子宮内膜が再生されます。

【排卵期】28日周期の方では月経周期14日目頃です

排卵期の体の働き

卵胞からのエストロゲンが血中に増加してくると、これが視床下部、下垂体にもはたらきかけ、一時的に大量のLHの分泌(LHサージ)が誘発されます。このLHサージが引き金となり、成熟した卵子が卵巣から飛び出します。これを排卵といい、排卵された卵子は卵管に取り込まれ受精を待ちます。また子宮内膜は厚みを増していきます。

【黄体期】基礎体温の高温相にあたり、正常では11日〜14日間です

黄体期の体の働き

排卵後の卵胞は黄体となり、エストロゲンと黄体ホルモン(プロゲステロン)を分泌します。この2種類のホルモンによって子宮内膜が増殖して厚くなり、受精卵が着床しやすい状態がつくられます。

【月経期】

月経期の体の働き

受精卵が着床しないと、黄体は萎縮し退化します。それに伴ってエストロゲンとプロゲステロンの分泌は急激に減少するため、厚みを増していた子宮内膜は剥離し、その時に起きる出血とともに子宮口から体外へ排出されます。これが月経です。

 

性行為感染症(STD)について

最近若い方の間でいろいろなSTDが増加しています。

セックスでうつる病気、性行為感染症(STD = sexually transmitted diseasesの略)は、かつては「性病」と呼ばれ、いわゆる「遊んでいる人」の病気と考えられていました。ところが最近は性行動が若年化しており、自由化しているため若い人の間でいろいろな病気が流行しています。またSTDには男性より女性の方がかかりやすく、またかかれば体へのダメージが大きいです。
ここでは代表的なSTDを紹介しますので、正しい知識を身につけましょう。

クラミジア感染症

クラミジア・トラコマティスという病原体によって起こるSTDです(淋菌との混合感染も10~20%にみられます)。まず子宮頚管炎として発症し、その後子宮内膜炎、卵管炎などから骨盤腹膜炎(PID)に進展することがあります。卵管に炎症を引き起こすと将来、卵管性不妊症、子宮外妊娠の原因となることがあります。

【症状】

膿性の黄色帯下を認めますが、なかにはまったく無症状の場合もあります。このため感染に気付かずPIDに進展することがあります。また最近では、オーラルセックスが一般的となってきているためクラミジア性咽頭炎も増加してきています。妊婦でも5%前後にクラミジアが検出されており、切迫早産、児への垂直感染などの問題が起きてます。

【治療】
ニューキノロン、マクロライド、またはテトラサイクリン系の薬剤が使用され、7日間の内服が必要です。妊婦にはニューキノロン、テトラサイクリン系の薬剤は使用できないので、マクロライド製剤が用いられます。またパートナーも同時に治療することが必要です。

淋病

淋菌によるSTDです。クラミジアと同様に子宮頚管炎として発症し、PIDに進展することがあります。またクラミジアと同様に卵管性不妊症、子宮外妊娠、そして淋菌性咽頭炎の原因となり得ます。
【症状】

膿性の黄色帯下を認めますが、なかには無症状に経過する潜在性感染者も多く、感染に気付かずPIDに進展することがあります。
【治療】

ペニシリン、セフェム、ニューキノロン、またはテトラサイクリン系の薬剤が使用されますが、最近これらの薬剤に耐性の淋菌も増えています。またパートナーも同時に治療することが必要です。

性器ヘルペス症

性器ヘルペス症は単純ヘルペスウィルス(Herpes simplex virus : HSV)1型(HSV-1)または2型(HSV-2)の感染によって性器、もしくはその周辺に発症するSTDです。

【症状】

初感染では強い疼痛を伴う水疱や潰瘍性病変が出現し、発熱や両側の鼠径リンパ節の腫脹を伴うことが多いですが、無症状の場合もあります。HSVが性器の皮膚・粘膜に感染すると、神経を通じて仙骨神経節に至り、そこに潜伏します。そして体の抵抗力、免疫力が下がったときにHSVが再び活性化し、その神経の支配領域に再発を繰り返すため、難知性と言われています。

【治療】

HSVに対する抗ウィルス剤(内服または軟膏)が使用されます。

尖圭コンジローム

尖圭コンジロームはヒトパピローマウィルス(human papillomavirus : HPV)により発症するSTDで、女性では主に外陰部、膣壁、子宮頸部に乳頭状の良性腫瘍をつくります。HPVは現在80種類を越す型が知られており、尖圭コンジロームでは6、11型による感染が多いと言われてます。

【症状】

腫瘍表面は白色からピンク色など様々で、疼痛などの自覚症状は少なく、掻痒感や外陰にザラザラしたものが触れるといったことで気付くことが多いです。最近性行動の自由化、多様化に伴い、若年層に増加傾向にあり、STDの中でも重要な疾患のひとつとなってます。

【治療】

外科的切除、電気凝固、冷凍療法、レーザー療法などの他に、ポドフィリン、5-FU軟膏などの薬物療法がありますが、治療後も再発することが多く、根気強く治療することが必要です。またパートナーにも陰茎コンジロームがあることが多く、同時に治療をすることが早期治癒に結びつきます。

トリコモナス膣炎

トリコモナス原虫(Trichomonas vaginalis)によるSTDで婦人科疾患の中でも最もポピュラーな疾患のひとつです。女性では膣のみならず子宮頚管、尿道、膀胱、バルトリン腺、男性では尿路系や前立腺に感染します。

【症状】

女性で黄色膿性あるいは泡沫状で悪臭を伴った多量の帯下を認めたり、外陰部掻痒感を認めたりします。

【治療】

メトロニダゾール、チニダゾールの膣錠、経口剤を使いますが、膣錠を用いた膣内局所の治療をしても膣以外からの自己感染を起こし、再発を繰り返して慢性化することがあるため、経口剤を併用することが必要です。またパートナーとのピンポン感染を防ぐためにも、パートナーも同時に治療することが大切です。

外陰・膣カンジダ症

外陰・膣カンジダ症は主として真菌であるCandida albicansを病原体として発症しますが、もともと膣内に常在する一菌種であり、通常は人体に害を及ぼしません。ところが抗生剤の連用やステロイド剤の使用、また体の抵抗力、免疫力が低下したとき、などに異常に増殖して病原性を発揮します(自己感染)。最近ではSTDの一種とも言われてますが、これも自己感染に関わりを持つ諸因子がいくつか絡み合っているものと思われます。

【症状】

特有の白色帯下、外陰・膣部の掻痒感、発赤、腫脹などが認められます。

【治療】

抗真菌剤の膣錠や外用剤による局所療法が主になります。治療後に再発を繰り返す難治性のカンジダ症もありますので、根気強い治療が必要です。

HIV感染症

1981年に突如出現したHIV感染症は瞬く間に世界中に蔓延しました。1987年まではHIVに対して有効な薬剤は全くなく、後天性免疫不全症候群(AIDS)発症後平均1~2年で死亡していました。1987年のAZTを皮切りに抗ウィルス剤が次々と開発され治療に用いられましたが、急速に薬剤耐性ウィルスが出現し、患者の生命予後を改善することはできませんでした。最近はプロテアーゼ阻害剤と逆転写酵素阻害剤を組み合わせた多剤併用療法によりHIV感染者の死亡率、AIDS発症者数、日和見感染症罹患率の劇的な減少を認め、HIV感染症は治療可能な疾患として新たな展開を迎えています。しかし一方で薬剤耐性のウィルスの出現や、抗ウィルス剤を長期連用することによる副作用の問題がクローズアップされてきています。

子宮頸癌とヒトパピローマウィルス

ヒトパピローマウィルス(HPV)は尖圭コンジロームの原因ウィルス(主に6、11型)として知られ、多くの疫学的調査でも性交によって伝播するSTDであることが示されています。またHPVのDNAが子宮頚癌、子宮頚部異形成でも高率に検出されており、現在HPV感染は子宮頚癌発症の最大の危険因子であると考えられています。HPVは現在80種類以上の型が同定されており、その中でも悪性病変に検出頻度が高い高リスク群(16、18型など)、検出頻度が低い低リスク群(6、11型など)、そしてその中間の中間リスク群(31、33、35、52型など)に分類されています。
最近の性交渉の低年齢化、性行動の自由化、多様化に伴い子宮頚癌の発症年齢の若年化が危惧されています。

 

子宮内膜症について

最近、若い女性の間でも増加しています。生理痛がひどくなってきた。それは子宮内膜症のサインかもしれません。

子宮内膜症ってどんな病気?どこにできるの?

子宮内膜とは

子宮の内腔を覆う粘膜を子宮内膜と言い、卵巣からの女性ホルモン(エストロゲン、プロゲステロン)の働きにより、周期的に出血(月経)を繰り返します。

子宮内腔以外のところに増殖してしまう

子宮内膜症は、この内膜と同じ様な組織が、正常な子宮内腔以外のところに増殖し、月経ごとに出血を繰り返す病気です。しかし、月経のように膣からでていくことができないのでその場所にたまり、子宮周辺に炎症や癒着を起こし、月経のある間は病気が進行します。以前は30代、40代に多い病気でしたが、最近は10代、20代にも増えてきています。また、結婚・出産年齢の高齢化、出産回数の減少に伴い増えてきていると言われています。好発する場所は卵巣、卵管、骨盤腹膜(ダグラス窩、仙骨子宮靱帯、膀胱子宮窩)などです。また子宮の筋層内に発生することも多く、この場合子宮腺筋症と言います。

子宮内膜症の症状

月経痛・月経時以外の下腹部痛、腰痛

子宮内膜症の9割近くの人が月経痛を訴えます。月経時にはプロスタグランディンという物質が子宮内膜から分泌され子宮筋を収縮させます。子宮内膜症ではこのプロスタグランディンが内膜症病巣からも分泌されるためか、余計に
子宮が収縮して痛みがひどくなるようです。病気が進行し子宮周辺が癒着してくると、月経痛がひどくなることもあり、また月経時以外の下腹部痛、腰痛の原因にもなります。

過多月経
"月経血の量が多い"、"レバー状の固まりが出る"は約半数の人が訴えています。子宮内膜症の中でも、特に子宮腺筋症によくみられる症状で、経過が長いと中等度~高度の貧血になります。

性交痛
約半数にセックス時の痛みを感じる人がいます。子宮内膜症の病巣があるとその周辺に癒着やしこりができることが多く、そのためペニスを挿入して刺激が加わることによって、痛みが走ることがあります。

 

排便痛
子宮内膜症の病巣が直腸やその周辺にあったり、癒着がその周辺にあったりすると、便やガスが通過するときに痛みを感じる人がいます。

 

不妊症
子宮内膜症なら必ず不妊というわけではありませんが、不妊症の患者に腹腔鏡をすると子宮内膜症がかなり認められるのは事実です。実際にも子宮内膜症の約半数の人が不妊に悩んでいます。原因としては、卵管、卵巣の周辺が癒着しているためとか、お腹の中の環境が悪化して受精や着床が妨げられる、などが考えられていますが、はっきりしたことは分かっていません。

子宮内膜症の診断方法

問診

前記の症状の有無を聞きます。

内診

最も重要な診断法です。子宮、卵巣そして子宮周辺の状態を触れることによって診断するため、診察台に仰向けになります。医師は片方の手の指を膣の中に入れ、もう一方の手でお腹を押さえ、子宮や卵巣の形、大きさ、硬さやしこりの有無、動き具合、動かしたときの痛みの有無などを調べます。

超音波(エコー)

膣の中に入れる経膣超音波で子宮や卵巣はより鮮明に見えるため、子宮内膜症、子宮筋腫、卵巣嚢腫、卵巣腫瘍などと言った子宮や卵巣の疾患の診断に有用です。

 

血液検査

子宮内膜症では腫瘍マーカーの一つである"CA125"が上昇することがあります。ただし必ずしも上昇するものではないため、補助的な検査法ですが、上昇している場合は内膜症の治療効果の判定に有用となります。

 

MRI

放射線を使わないで、縦・横・斜めなどあらゆる角度から体内の画像を撮ることができます。子宮筋腫と子宮腺筋症の見分け、チョコレート嚢腫と他の卵巣腫瘍の見分けに有用です。

腹腔鏡検査(脊椎麻酔または全身麻酔が必要です)

実際に症状があっても、上記の診断法で内膜症の病変がはっきりしないことがあります。このような場合、お腹の中に腹腔鏡(カメラ)を入れ、直接子宮、卵巣や子宮の周囲を観察することによって見つけることが可能です。

​▲内診

​▲エコー

​▲腹腔鏡検査

子宮内膜症の治療法

薬物療法

子宮内膜症は女性ホルモンによって進行します。ホルモン療法は女性ホルモンを低く抑えることで、内膜症の進行を防止し、使用中は症状が軽減されますが、治療の中止後再発することがあります。

 

鎮痛剤

比較的軽症の場合は、痛みを和らげる目的で使われます。前述しましたが、子宮内膜症の痛みにはプロスタグランディンが関与していると考えられています。そこでこのプロスタグランディンの合成を阻害する鎮痛剤が疼痛に対して有効であり、月経の始まりかけたときに早めに使うと効果的です。ただし、子宮内膜症の進行を防ぐ効果はありません。

低用量ピル療法

エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)を含むピル(避妊薬)を内服することによって排卵を抑え、子宮内膜の増殖を抑えるため、子宮内膜症の症状も軽減します。
副作用として吐き気、不正出血などがありますが、服用を続けると解消されます。またたばこを1日15本以上吸う人は血栓症を起こす可能性があるので要注意です。

ダナゾール療法

ダナゾールは男性ホルモンの誘導体で、下垂体からの卵胞刺激ホルモン(FSH)、黄体形成ホルモン(LH)の分泌の抑制と、卵巣での女性ホルモン(エストロゲン、プロゲステロン)の産正を抑制し、閉経の状態をつくって子宮内膜症の病巣を萎縮させます。また病巣に対する直接作用もあると言われています。
副作用として低エストロゲンに伴う更年期様症状と、男性ホルモン作用による体重増加、むくみ、にきび、肝機能障害などがあり、連続投与は6ヶ月までに限られます。


GnRHアゴニスト療法

GnRHアゴニストは、下垂体からFSHとLHの分泌を抑制し、それにより卵巣からの女性ホルモンの分泌を抑制し、無排卵、無月経(閉経)状態をつくります。内膜症の病巣は萎縮し、月経が止まることにより症状が緩和されます。薬剤には鼻の中にスプレーするタイプ(毎日使用)と注射剤(4週ごと)があります。
副作用として低エストロゲン状態による更年期障害と、骨塩量の低下(骨粗鬆症)があり、連続投与は一般的に6ヶ月までです。最近はアドバック療法といって、副作用を軽減する目的でエストロゲン剤を服用しながら治療を続けることも試みられています。

手術療法

保存手術

主に未婚の人や妊娠・出産を希望する場合に行います
ホルモン療法のみでは効果があがらない場合や病巣が大きい場合は、手術による治療が行われます。その際、未婚の人や妊娠・出産を希望する場合には保存手術を選択します。具体的には、病巣部を電気凝固、レーザー蒸散したり、卵巣のチョコレート嚢腫を摘出したり、癒着をはがしたりします。再発の可能性もあるため、妊娠を希望する場合は早く妊娠することが望ましいです。

準根治術

症状がひどく、子宮を全摘出するが、卵巣を一部残して更年期症状を防ぐ

症状がひどいが薬物療法で効果が得られず、閉経まで年数があるが、子供をもう望まないという人には、少なくとも片方の卵巣は残して子宮を全摘出する手術が選択されます。これによって毎月の月経がなくなり、ひどい症状から解放されることになります。また健全な部分の卵巣を残すことで女性ホルモンが分泌され、卵巣が機能しなくなる時期(閉経)まで更年期症状に悩まされることはありませんが、女性ホルモン分泌される以上、残った病巣が再発する可能性はあります。

根治手術

症状が重く、閉経が近い場合、子宮及び卵巣を全摘出します
子宮と左右の卵巣、卵管などをすべて摘出するため、術後は月経がなくなって耐え難い苦痛から解放されますし、卵巣からの女性ホルモンの分泌もなくなるので、再発も防げます。

 

子宮筋腫について

30歳以上の女性の5人に1人が子宮筋腫であると言われています。

子宮筋腫ってどんな病気?どこにできるの?

子宮筋腫とは

子宮の筋肉に、こぶのようなかたまりができる病気です。こぶはひとつのこともあれば、たくさんできることもあり、豆粒大のものもあれば、赤ちゃんの頭ぐらいのものもあります。ほとんどが良性の腫瘍ですが稀に悪性の"子宮肉腫"のこともあるので、定期的に検診を受けることが重要です。子宮筋腫は女性ホルモンの影響により大きくなりますが、閉経になると卵巣からの女性ホルモンがでなくなるため、以後発育せず小さくなります。

また子宮筋腫と子宮内膜症(子宮腺筋症)の両方が存在することもよくあります。


子宮筋腫は、筋腫の発育する方向によって

次のようなタイプに分けられます。

1.漿膜下筋腫(子宮の外側に向かって発育するタイプ)
2.筋層内筋腫(子宮の筋層内に発育するタイプ)
3.粘膜下筋腫(子宮の内側に向かって発育するタイプ)

子宮筋腫の症状

月経痛、過多月経、貧血

子宮筋腫の症状としてもっとも多いのが、月経時の腹痛と、月経血量が多い、レバー状のかたまりがでると言った"過多月経"の症状です。また過多月経により鉄欠乏性貧血が起こりやすくなります。貧血はゆっくりと慢性的に進むために、気づかない場合も多く、筋腫が見つかった時に検査して初めて貧血を指摘されることもあります。

下腹部が痛い、しこりを触れる

筋腫がある程度大きくなると、お腹の上からでも触ることがあります。また大きくなると筋腫の中が変性して炎症を起こすことがあり、下腹部痛を訴えることもあります。

腰痛、脚のだるさ

筋腫が大きくなると、腰などの神経を圧迫したり、骨盤内の血液の循環を悪くするため、腰痛や脚のだるさを訴えることがあります。

 

頻尿、便秘

筋腫が大きくなり、膀胱や腸を圧迫することによりあらわれることがあります。

 

不妊症

筋腫があっても妊娠・出産する人はたくさんいますが、筋腫のできる場所や大きさによって不妊や流産の原因となることがあります。

子宮筋腫の診断方法

問診

前記の症状の有無を聞きます。

内診

最も重要な診断法です。子宮、卵巣そして子宮周辺の状態を触れることによって診断するため、診察台に仰向けになります。医師は片方の手の指を膣の中に入れ、もう一方の手でお腹を押さえ、子宮や卵巣の形、大きさ、硬さやしこりの有無、動き具合、動かしたときの痛みの有無などを調べます。

超音波(エコー)

膣の中に入れる経膣超音波で子宮や卵巣はより鮮明に見えるため、子宮内膜症、子宮筋腫、卵巣嚢腫、卵巣腫瘍などと言った子宮や卵巣の疾患の診断に有用です。

 

MRI

放射線を使わないで、縦・横・斜めなどあらゆる角度から体内の画像を撮ることができます。子宮筋腫と子宮腺筋症の見分け、チョコレート嚢腫と他の卵巣腫瘍の見分けに有用です。

​▲内診

​▲エコー

子宮筋腫の治療法

子宮筋腫があっても、必ずしも治療が必要というわけではありません。筋腫が大きくなくて、これといった症状がなく、日常生活に支障がない場合には、経過観察します。その場合でも、3~6ヶ月に一度は婦人科を受診し、筋腫の状態を確認しておいた方がいいです。急に大きくなる場合には、最初にも述べた"子宮肉腫"が疑われるので、注意が必要です。

薬物療法

鎮痛剤

前記の症状の有無を聞きます。

鉄剤

貧血に対する対症療法です。一般的には貧血がひどく、手術までに改善する必要がある場合に使用することが多いです。

GnRHアゴニスト療法

子宮筋腫は女性ホルモンの影響を受け、大きくなります。GnRHアゴニストは、この女性ホルモンの分泌を抑制し、無排卵、無月経(閉経)状態をつくります。これにより一時的に筋腫は小さくなりますが、薬をやめると月経は始まり、筋腫も再び大きくなります。そのため実際には、閉経が近いため薬を使って閉経に逃げ切る目的、手術前に筋腫を小さくして手術をしやすくしたり、月経を止めて貧血を改善しておく目的で使われます。薬剤には鼻の中にスプレーするタイプ(毎日使用)と注射剤(4週ごと)があります。
副作用として低エストロゲン状態による更年期障害と、骨塩量の低下(骨粗鬆症)があり、連続投与は一般的に6ヶ月までです。

手術療法

子宮筋腫核出術

子宮を摘出しないで、筋腫のみを摘出する方法です。妊娠・出産を望む人で、筋腫が原因の各症状で悩んでいる場合に選択されます。ただし小さな筋腫の芽が残ることもあり、再発することも多いです。

子宮全摘出術

子宮全体を摘出する手術です。月経もなくなり、妊娠・出産はできなくなりますが、月経痛、腰痛、貧血などから解放される根治的治療法です。手術は開腹手術が一般的ですが、筋腫があまり大きくなく、子宮周囲の癒着が軽度であれば膣から摘出する、"膣式手術"も可能です。

 

更年期障害とホルモン補充療法(HRT)

更年期は女性の誰もが通過する人生の通過点。正しく理解してそれからの人生を快適に過ごしましょう。

まず女性のからだと更年期のことを知ろう

女性ホルモンのバランス

女性のからだは卵巣から分泌される女性ホルモンによって、心身ともに大きな影響を受けています。女性ホルモンには、卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)の2種類があり、互いにバランスを取り合いながら働いています。

閉経前後の体の変化

ところが40歳代でそれまで順調に訪れていた月経が不規則になり、女性ホルモンの分泌も低下し、やがて閉経を迎えます。通常1年間以上月経をみなければ、閉経と言います。この閉経前後の一連の移り変わりの時期を"更年期"と言います。ひとくちに"更年期"と言っても迎える時期には個人差があり、一般に閉経をはさんでの前後10年くらいの間を言います。"更年期"が続く期間も人によって異なります。

更年期の症状

更年期には、卵巣の機能が低下し女性ホルモンが急激に減少することと、その時期の心因性ストレスとによって、心身に様々な症状が現れてきます。まず、月経周期にその変化が現れますが、この他にも一般的に不定愁訴とよばれている一定しない症状がからだのいろいろな場所に現れてきます。

更年期の治療法

【薬物療法】 1.ホルモン補充療法(HRT=hormone replacement therapy)
       2.精神安定剤
       3.抗うつ剤
       4.自律神経調整剤
       5.漢方薬

【心理療法】 カウンセリング

【  その他  】 スポーツ、文化活動など

ホルモン補充療法(HRT)

以前から行われている薬物療法として、不眠やイライラ、抑うつ状態に対して精神安定剤、抗うつ剤、自律神経失調症に対して自律神経調整剤、また、各症状に合わせた薬剤が投与されています。このほかカウンセリングやスポーツなどによる生活環境の改善も効果的です。


最近では不足している女性ホルモンを補うことによって、更年期症状を改善しようという考えから、HRTがはじめられています。エストロゲンとプロゲステロンを併用することによって子宮体癌の発生が抑えられることがわかっており、これが現在行われてるHRTです。子宮筋腫などで子宮を摘出している方には、エストロゲンのみが使われることもあります。

 

また、閉経以後に高脂血症、動脈硬化から起こる心血管障害や骨粗鬆症といった成人病が増加することが知られていますが、その原因としてもエストロゲンの慢性的な減少が関係しています。そこで女性ホルモンを補ってやればこれらの成人病を防ぐことが可能になります。またアルツハイマー病の予防にも有効と考えられています。

エストロゲン欠乏による

症状、状態の改善

1.顔のほてり、発汗などの改善
2.肩こり、腰痛などの改善
3.不眠、うつ状態などの改善
4.皮膚・粘膜の若返り、性交障害の改善

エストロゲン欠乏による

疾患の予防

1.骨そしょう症の予防、進行防止、
   骨折の予防
2.高脂血症、動脈硬化の予防
   心・血管系疾患の予防
3.アルツハイマー病

乳がんや子宮内膜がんがある場合には避けて下さい。
月経のような出血が起こることがあります。
次のような副作用が起きる場合があります。
 ・乳房の痛み・しこり、おなかがはる感じ、頭痛など
治療効果や副作用の検討を行うため、定期的な検診を受けてください。

HRTをはじめる前には子宮体癌、乳癌がないか、子宮筋腫などがないか、肝機能に異常がないか、血栓症の既往がないか、糖尿病がないかなどを確認した上で治療を開始します。治療を開始した後も同じように検診が必要です。


エストロゲンとプロゲステロンを併用することで、将来的な子宮体癌の発生は抑えられると言われています。乳癌については発生率が増加するかどうかの結論はでていません。副作用としては、性器出血、乳房痛・緊満感、悪心・嘔吐、おなかがはる感じ、下腹部痛などがありますが、このような症状が現れた場合は、必ず医師に相談してください。

HRTをどのくらいの期間続けるかについては、治療目的によって異なります。更年期の一時的な症状を改善させるだけであれば、数ヶ月~数年で可能ですが、将来的な高脂血症、動脈硬化による心血管障害や骨粗鬆症などの予防をするためであれば、10年以上続けます。

HRTをはじめる前、はじめた後に気をつけること

 

子宮頸癌と子宮体癌

正しく理解して定期的に検診を受けましょう。

ひとくちに子宮癌と言っても、頸癌と体癌の2種類があり、それぞれできる場所も、組織型も、なりやすい人も、できやすい年齢も違う、全く別の癌です。

子宮頸癌について

子宮の頸部(子宮の入り口付近)にできる癌で、組織型は主に扁平上皮癌で稀に腺癌も認めます。現在、子宮頸癌はセックスで感染する"ヒトパピローマウィルス(HPV)"が関係していることが分かってきています。癌も突然発生するものではなく、HPVに感染後、軽度異形成→中等度異形成→高度異形成を経てごく初期の“上皮内癌”となり、そして“微小浸潤癌“、“浸潤癌“へと進行していきます。軽度異形成の95%は自然に治ると言われていますが、定期的な経過観察が重要です。また最近のセックス初体験の低年齢化、セックスの自由化、多様化に伴い子宮頸癌の発症年齢の若年化が危惧されています。

【定期検診の重要性】

早期発見には定期的な検診が唯一の手段です。初期の段階では、自覚症状はほとんどありません。まれにセックス時の接触による性器出血がある程度です。最近では10代でも検診で異常が見つかることがあり、『若いから子宮癌検診は必要ない』と考えるのは間違いです。

【癌検診の方法
癌検診を行うためには、まず内診台に上がる必要があります。直視下に子宮の入り口をこすって細胞を取り、この細胞を顕微鏡で観察し、異常がないかどうかを判断します(細胞診)。もし細胞診で異常が見つかった場合はコルポスコピー診を行い、組織を採取し、軽度異形成、中等度異形成、高度異形成、上皮内癌、微小浸潤癌、浸潤癌のどれにあたるかを診断します。

子宮体癌について

子宮体癌は、別名“子宮内膜癌”と呼ばれるように、子宮の内側をおおう子宮内膜から発生する癌です。閉経にさしかかる40代後半~50代に多く、最近増加してきています。その原因として食生活の欧米化、妊娠・出産回数の減少などが原因とされています。また若い女性でも排卵障害のある人では、女性ホルモンのうちの卵胞ホルモン(エストロゲン)だけが持続的に分泌され、それが子宮内膜を持続的に増殖させ、子宮内膜癌を発生させる恐れがあります。

【自覚症状は不正出血から】

通常、不正出血を認めることが多いです。月経以外の不正出血があれば、必ず検診を受けるようにしましょう。

【癌検診の方法体癌検診も頸癌検診と同じように、まず"細胞診"をしますが、体癌検診では子宮の内腔にブラシを挿入し細胞を採取します。細胞診で異常が見つかった場合は、内膜組織を採取し、精密検査を行います。しかし細胞診で異常がひっかからないこともあるため、不正出血が頻回にあるような場合も内膜組織を採取し、精密検査を行います。また、通常閉経以後は子宮の内膜は薄くなるため、超音波で子宮内膜の厚さを観察するのも診断の助けとなります。