子宮筋腫

子宮筋腫について

30歳以上の女性の5人に1人が子宮筋腫であると言われています。

子宮筋腫ってどんな病気?どこにできるの?

子宮筋腫とは
子宮の筋肉に、こぶのようなかたまりができる病気です。こぶはひとつのこともあれば、たくさんできることもあり、豆粒大のものもあれば、赤ちゃんの頭ぐらいのものもあります。ほとんどが良性の腫瘍ですが稀に悪性の”子宮肉腫”のこともあるので、定期的に検診を受けることが重要です。子宮筋腫は女性ホルモンの影響により大きくなりますが、閉経になると卵巣からの女性ホルモンがでなくなるため、以後発育せず小さくなります。

また、子宮筋腫と子宮内膜症(子宮腺筋症)の両方が存在することもよくあります。
子宮筋腫は、筋腫の発育する方向によって次のようなタイプに分けられます。

  1. 漿膜下筋腫(子宮の外側に向かって発育するタイプ)
  2. 筋層内筋腫(子宮の筋層内に発育するタイプ)
  3. 粘膜下筋腫(子宮の内側に向かって発育するタイプ)

子宮筋腫の症状

月経痛、過多月経、貧血
子宮筋腫の症状としてもっとも多いのが、月経時の腹痛と、月経血量が多い、レバー状のかたまりがでると言った”過多月経”の症状です。また過多月経により鉄欠乏性貧血が起こりやすくなります。貧血はゆっくりと慢性的に進むために、気づかない場合も多く、筋腫が見つかった時に検査して初めて貧血を指摘されることもあります。

下腹部が痛い、しこりを触れる
筋腫がある程度大きくなると、お腹の上からでも触ることがあります。また大きくなると筋腫の中が変性して炎症を起こすことがあり、下腹部痛を訴えることもあります。

腰痛、脚のだるさ
筋腫が大きくなると、腰などの神経を圧迫したり、骨盤内の血液の循環を悪くするため、腰痛や脚のだるさを訴えることがあります。

頻尿、便秘
筋腫が大きくなり、膀胱や腸を圧迫することによりあらわれることがあります。

不妊症
筋腫があっても妊娠・出産する人はたくさんいますが、筋腫のできる場所や大きさによって不妊や流産の原因となることがあります。

子宮筋腫の診断方法

問診
前記の症状の有無を聞きます。

内診
最も重要な診断法です。子宮、卵巣そして子宮周辺の状態を触れることによって診断するため、診察台に仰向けになります。医師は片方の手の指を膣の中に入れ、もう一方の手でお腹を押さえ、子宮や卵巣の形、大きさ、硬さやしこりの有無、動き具合、動かしたときの痛みの有無などを調べます。

超音波(エコー)
膣の中に入れる経膣超音波で子宮や卵巣はより鮮明に見えるため、子宮内膜症、子宮筋腫、卵巣嚢腫、卵巣腫瘍などと言った子宮や卵巣の疾患の診断に有用です。

MRI
放射線を使わないで、縦・横・斜めなどあらゆる角度から体内の画像を撮ることができます。子宮筋腫と子宮腺筋症の見分け、チョコレート嚢腫と他の卵巣腫瘍の見分けに有用です。

子宮筋腫の治療法

子宮筋腫があっても、必ずしも治療が必要というわけではありません。筋腫が大きくなくて、これといった症状がなく、日常生活に支障がない場合には、経過観察します。その場合でも、3~6ヶ月に一度は婦人科を受診し、筋腫の状態を確認しておいた方がいいです。急に大きくなる場合には、最初にも述べた”子宮肉腫”が疑われるので、注意が必要です。

薬物療法

鎮痛剤
前記の症状の有無を聞きます。

鉄剤
貧血に対する対症療法です。一般的には貧血がひどく、手術までに改善する必要がある場合に使用することが多いです。

​GnRHアゴニスト療法
子宮筋腫は女性ホルモンの影響を受け、大きくなります。GnRHアゴニストは、この女性ホルモンの分泌を抑制し、無排卵、無月経(閉経)状態をつくります。これにより一時的に筋腫は小さくなりますが、薬をやめると月経は始まり、筋腫も再び大きくなります。そのため実際には、閉経が近いため薬を使って閉経に逃げ切る目的、手術前に筋腫を小さくして手術をしやすくしたり、月経を止めて貧血を改善しておく目的で使われます。薬剤には鼻の中にスプレーするタイプ(毎日使用)と注射剤(4週ごと)があります。
副作用として低エストロゲン状態による更年期障害と、骨塩量の低下(骨粗鬆症)があり、連続投与は一般的に6ヶ月までです。

手術療法

子宮筋腫核出術
子宮を摘出しないで、筋腫のみを摘出する方法です。妊娠・出産を望む人で、筋腫が原因の各症状で悩んでいる場合に選択されます。ただし小さな筋腫の芽が残ることもあり、再発することも多いです。

子宮全摘出術
子宮全体を摘出する手術です。月経もなくなり、妊娠・出産はできなくなりますが、月経痛、腰痛、貧血などから解放される根治的治療法です。手術は開腹手術が一般的ですが、筋腫があまり大きくなく、子宮周囲の癒着が軽度であれば膣から摘出する、”膣式手術”も可能です。

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